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2020.12.01ブログ
奈良女子大学 なら学+(プラス)講演

令和2年11月24日(火)奈良女子大学にて

奈良女子大学 教養教育科目 なら学+(プラス)

行政・民間からの多彩なゲストが、奈良の伝統産業、奈良の基幹産業について語り、奈良の魅力を伝え、また地域が抱える問題を掘り下げ、地域創生や解決策について学生と共に考えるというもの。

奈良の特産品である三輪そうめんを通し、
「食の歴史を知り、世界に発信するための課題を探る」をテーマに
株式会社 池利 専務取締役 池田 利秀が講演を行った。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、手指の消毒、教室で聴講する学生は少人数、150人を超える学生たちはオンライン授業となっている。

 

三輪そうめんのルーツとは?

まず、そもそも「三輪素麺とは?」なぜ三輪素麺(みわそうめん)というのか?というところからはじまる。「三輪」というのは地名、その地で作られたから「三輪素麺」と呼ばれている。

ここで、画面に奈良県の地図を表示し、三輪という地域を説明。

「三輪山」という山があり、そのふもとには「大神神社(おおみわじんじゃ)」という三輪山自体をご神体とする神社がある。

現在の住所ですべてに「三輪」という名がつくものではないが、この周辺地域を「三輪」という。実際に、三輪素麺生産者は三輪山を囲むよう、山のふもとに集まっている。

 

次に三輪素麺の歴史を深めていく。三輪素麺は1300年ほど前に誕生、「大神神社」の神主の大神朝狭井久佐(おおみわのあそんさいくさ)の次男の穀主(たねぬし)が三輪の地に小麦を撒かせ作りはじめたのが起源とされ、その原型は下の写真「索餅(さくべい)」とされる。

「索餅」は小麦粉を練り、棒状にしたものをねじって乾燥させたもの。当時、大切な保存食であり、蒸すか油であげていたようである。もちろん非常に貴重な食べ物であるため、特別な時、特別な人にしか食べることができないものであったとされる。

 

三輪素麺業界が抱える課題について

古くより、受け継がれてきた手延べ素麺だが、三輪素麺生産者の高齢化で、素麺づくりを辞めていかれる方が急に増えてきており、また後を継ぐ方があらわれていないことで、需要と供給のバランスが崩れる日が近づいてきているということ。

高齢化については素麺業界だけではなく、日本全体でいえることで致し方ないにしても「跡継ぎがあらわれない」ことは問題。

 

『素麺職人』というと、古風な気質を感じ、また早朝5時あたりから夕方までの作業という点でもスマートではないイメージがある。

実際は、自由な時間を作ることができ、休みもとりやすい。すでに今ある設備を使っての素麺づくりとなるため、設備投資費用はほぼ不要。できあがった素麺はすべて三輪素麺組合が買い取ってくれるため、ほぼリスクはないといえる。

 

三輪素麺をこれからも発信・さらには世界へと発展していくためには「素麺生産量の確保」が課題となってくる。これからも奈良県の特産品である「三輪素麺」を末永く食べていただくためには「どうすれば生産者さんが増えていくか?三輪素麺づくりという仕事が魅力的なものになるか?」という点を考えていかねばならない。

 

 

三輪素麺をもっと知ってもらうために

よく言われること。よく耳にすること。それは「素麺といえば揖保乃糸のイメージがどうしても強い」という声。

皆様からいただいたご質問にも『三輪素麺の知名度に関して、もっと広めるためにどうしていく?』とある。

恥ずかしながら、三輪素麺の知名度は揖保乃糸に負けているのは事実。

[テレビCM]による大きな効果、そして地道な販売促進活動により素麺といえば揖保乃糸というイメージは定着している。

 

今年の夏、日本テレビ『沸騰ワード10』にて三輪素麺のおいしさが特集され、放送されると大反響!ネット通販の各モールで1位を獲得。多くの方に興味を持っていただけたという大きな手ごたえを感じた。

 

最後に

短い時間の中で、三輪素麺のルーツを知っていただき、三輪素麺の抱える課題について考えていただけたかと思う。大切なのは「現状に満足せず、探求心を持って変化していく気持ち」だと思う。ここに行動力が備われば言うことなし。

これからも先人たちの熱い思いを心に刻み、どう動いていかねばならないかと自問自答する日々は続いていく。

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